高校生の頃、初めてamazonに商品を出品しました。いつも遊んでばかりの僕の財布は常に寒く、かといって高校生向けの良いバイトも見つからず仕方なく始めました。当時はかなり忙しく、部活から帰ったらすぐに寝てしまうような毎日だったので、通学途中の電車から出品したりしていたのを覚えています。
初めのうちは家にあるいらないものを売ったりしていたのですが、なかなか売れない毎日。ついにある日、転売ヤーデビューを決意しました。生まれてから一度も行ったことのない近くのフリーマーケットに恐る恐る顔を出すとおじいちゃんおばあちゃんばかり。必死に売れそうなものを探し回って、とっても優しそうなおばあちゃんから僕が手に入れたものはイヤリングでした。両方セットで100円という破格の安さ。これなら売れなかったとしても誤差です。調子に乗った僕はおばあちゃんの口車に乗せられつつ使いもしない4つほどのイヤリングを手に入れたのでした。
 満を持してamazonに出品します。正直商品に愛着も何もありませんから、紹介文を考えるのはとっても大変でした。知恵を振り子ぼって必死に書いた紹介文もなんだか怪しい海外サイトみたいなものが出来上がっていましたが、そんなこと気にしたら負けです。少しの羞恥心とプライドを捨てつつ、僕は出品ボタンを押したのでした。
 転売ヤーに休みはありません。遊ぶ資金が欲しい一心だった僕が次に出向いたのはドンキホーテでした。ドンキホーテのカラクリって有名なんでしょうか。めちゃくちゃ安くなっている客寄せ商品だけを買えばとってもお得なのですが、それ以外の商品もバランスよく買うことでドンキ側の採算が取れるようになっています。この知識に基づき僕は店頭にまるでゴミ箱のゴミのようにほったらかしにされていたネクタイをなんと1本10円という破格の安さで5本購入し、?50の会計を済ませました。水玉模様の可愛いネクタイでした。確か。あんまり見ていないのでわかりませんが。間髪を容れず出品します。愛着のない商品の紹介文を書くのって本当に難しいんですね。小学校の読書感想文で鍛え上げた「内容のないような文章を書く能力」がここで試されます。「【水玉】」などとわけのわからないアピールを盛り込みつつ、僕の出品は完了しました。
 待つこと数日、ある日スマホがピロン♪と鳴ります。なんと! 売れていたのです、ネクタイが。10円で仕入れたあの水玉ネクタイが。500円で。歓喜しましたそれはもう。多少の罪悪感こそあったものの、この営みこそがビジネスです。私はニヤニヤしながらコンビニへと向かい、無事に初めての転売を成功させたのでした。
 しかしそれ以降amazonからは全く通知が来ません。例え500円で商品が売れたとしても送料やら手数料やらで出品者の手元に届くのは実質300円にも満たなくなってしまうため、これではまだ赤字です。ネクタイについている可愛い水玉模様をアピールしたり、布の上質さをアピールしたりしてみましたがダメでした。しかし、冷静に考えてみればあの大企業ドンキホーテ様が10円で売るような商品を商売素人の私が500円で売り捌けないのは当然です。高校生の貧弱な思考力ではそこに気がつくことができませんでした。もちろんしっかりマーケティングを行えば多少は利益を出せるのかもしれませんが、かける時間と手間を考えれば釣り合いが取れていないのは明白です。お小遣い稼ぎ程度にはなるのかもしれませんが……。
 かくて私のamazonで稼ぐ作戦は失敗しました。今となっては苦い思い出です。イヤリング? まだ私の机の中にありますよ。未だに1つ800円ぐらいで売っているのでぜひ。おばあちゃんの愛情がこもっているはずです。きっと。