主人はガンダムやトランスフォーマー好き。

男性ならば、フィギュア好きが多いとわかっていて結婚しました。

アラフォーで行き遅れの私には、そんなことを言っている余裕はなかったからです。

人間は違って当たり前なのですから。

趣味もまた違って当たり前。

主人のしていることは何も気にならないはずでした。

が、何が嫌かって、フィギュアの類って異常に“かさばる”のです。

もう棚にひしめきあって、飾られる順番待ちのものは置く場所もなく、廊下や玄関に「順番待ち」をしている始末。

義両親などが家にひょっこり遊びに来たりするともう大変です。

ですがジタバタしても、そもそもどこにも片付けるスペースがないので仕方ないことなのですが。

フィギュアが入っている箱を手で避けつつ、義両親の通れる道を確保するというなんとも珍妙な光景。

なんとかリビングでくつろいでいると、運悪く「ピンポン」がなり、主人が注文した新しいフィギュアがまさに今届いたりするのでした。

「ものが多いのね?」そんなことを言う義母に「あんたの息子のものがね」と言い返してやりたいところを抑え、苦笑い。

そんなことも、もう溜まりに溜まっていたのです。

「いい加減にしてよ」私が叫んだのはたった一言でした。

結婚当時は男の人の趣味に理解あるそぶりを見せていた私が、それを覆すというのは、自信のない自分にとっては勇気がいることです。

契約違反と称して「だから言ったよね?」なんて、自分のやることに口出しをするなと言われかねないからです。

しかし、意外なことにスーっと青ざめたのは「さすがに、そろそろやばいかなー」なんて思っていたらしい主人の方。

つべこべ言わずに、amazonに出品することを考えついたようでした。

そして、早速スーパーからダンボールの箱とエアーキャップを大量に持って帰って来た主人。

それを置くスペースもないので、唯一、安全地帯のリビングに「amazonスペース」が出来上がり。

連日そこで写真を撮ったりと作業をする主人は、やけに楽しそうでもあったのです。

「いくらくらいで売るの?」ご聞けば1000円くらいとの返答。

そんな値段で送料が800円も取られればほとんど利益は出ません。

しかしそれでも部屋が広くなるのなら……。

そんな切羽詰まった私の思いが、旦那の気持ちを鑑みてしまった。

後から考えると、これがいけなかったことはわかります。

しかし、大事なものを整理してくれようとしているのだからという思いが過ぎった瞬間、「私も手伝う」とつい名乗り出てしまっていたのです。

1000円と安く、状態も良いフィギュア。

おまけに一回組み立ててからカッコイイポーズをさせて写真を撮影するのですから、そりゃあ売れるはずです。

さらに散らかって足の踏み場もない家に気分は最悪なところ、ようやくトランスフォーマーのイケメンこと「スタースクリーム」出品のGOサインが出たのです。

梱包は手伝うと決めていたのですが、それは箱があるものは箱のまま発送できると思っていたからでした。

ところが、主人は「箱も大事だから」。

ピシャッと私の素人考えを否定されたのでした。

大変なのはそこから、神経衰弱のようにトランスフォーマーの箱に合うダンボール箱を探します。

あたりをダンボールの山が出来上がった頃、やっと適当な箱を発見。

しかし見つかったところで、ダンボール箱をの縦横高さを測ったところ、後2cmほどで200円送料が安くなると言うことに気がつきました。

うっかり「後2cm箱が小さければ送料が200円安くなるのにね」と口に出してしまったのが運の尽き。

主人はなんと、「こういうの得意だから」とダンボールをカッターで切り出したのです。

2cm分調整するために、箱を切ってまた貼り付けるのです。

箱を押さえるのに手を貸しつつ「見た目が……」と口出しをすると、主人は「こういう出品ではよくある話だから」とまたピシャッと素人扱い。

そこから、さらに数時間かけてものものしい梱包物が完成したのです。

それを両手に抱えて、意気揚々と出品物を発送しに出て行った主人。

振り返ると、あたりはダンボールの山の上に、ダンボールの削りカスの山。

一個でこれ?

私は後悔と壮大なゴミの山に埋もれて、途方にくれるばかりでした。.